乱気流への適応では、3-2で述べたとおり、3つの戦略的対応が必要です。
1つ目は「ストラテジック・ポスチャー・マネメント(SPM)」 です。自社の将来のあるべき姿、全体像を明らかにし、「事業」「組織」「財務」「社会」の 各領域を具象化していきます。これが「戦略ビジョン」の構築にあたります。変化に対する自社の「戦略的意図」と言い換えてもいいでしょう。ビジョンの構築 が、新たな事業領域の設定につながります。
2番目は「ストラテジック・イシュー・マネジメント(SIM)」です。課題には「機会」や「強み」といったプラス面と、「脅威」や「弱み」と見なされるマイナス面が併存します。環境からのシグナルを見定め、プラス面を効果的に引き出すことこそ、企業経営のダイナミズムに他なりません。
3番目は「ストラテジック・パフォーマンス・マメジメント(SPeM)」です。上記2つで適応を図りつつ、目標である成果を実現し、企業価値の向上につなげることが問われます。ここでは、個々の戦略と企業経済価値を結 びつける「バリュードライバー」を通じ、これをKPI(Key Performance Indicator)に落とし込むことが基本になります。
SPMとSIM、そしてSPeM、三位一体の実践は、単なる知識やスキルではなく、環境と連動したリテラシーです。これを「戦略リテラシー」といってもいいでしょう。戦略を策定し、実行する上で、戦略的意思決定を行う前提にこのリテラシーが位置づけられます。
加えて、戦略的意思決定の基盤となるのが判断に先立つ情報です。単なるインフォメーションではなく、“戦略情報”と位置づけるべきものです。戦略情報を整え、成果につなげる素養がインテリジェンスリテラシーと言えるでしょう。