戦略経営実現から戦略インテリジェンスへの通底
企業を取り巻く様々な環境変化を見るにつけ、H.Iアンゾフが提起した戦略経営論の重要性が一層強く増して来ています。「乱気流環境下において戦略的な適応を基軸とする」その視座は、むしろ今日にこそ活かせる奥行きと幅を持っています。
同時に、環境と戦略の適応性、戦略と組織の適合性を創造していくにおいて、インテリジェンスの重要性とその有効性が問われてきています。ここでのインテリジェンスは、単に情報収集や情報分析をより効果的に進め、情報の生成という次元に留まるものではありません。
それぞれの環境において、それぞれの企業において目的とする目的情報が当然に異なります。このとき、自社にとって何が必要情報なのか、重要情報であるのを決することが先ずはインテリジェンスの出発といえます。そして、この重要情報から戦略情報へと導き出すこそインテリジェンスの本質的な視点があります。この戦略情報は戦略的意思決定に大きく関わってきます。この意味から「戦略インテリジェンス」として表現しています。意思決定と情報は不可分であり、これは戦略とインテリジェンスの関係性を示しています。
自社を取り巻く環境変化が仮に乱気流環境と認識したとしても、従来の発想からの戦略域から出てこないのが実情です。それは、戦略プロセスに戦略インテリジェンスが適合されていない結果からです。この背景は、従来の経営の枠組みの中でインテリジェンスはそれほど強調されてきていませんでした。
環境と戦略と組織の適合関係を不断に創造していくには、インテリジェンスが不可欠です。これからの企業におけるインテリジェンスは、目的情報から戦略情報の領域に止まらず、経営意思決定プロセスとして形づかれ、インテリジェンス・マネジメントとして体勢づくりをしていかなければなりません。H.Iアンゾフは戦略経営の実践において適応の意思決定プロセスにおいて戦略と情報関係性を示唆しています。戦略経営実現のメカニズムにおけるダイナミズムは戦略インテリジェンスの存在と言えます。
戦略経営実践におけるインテリジェンス・マネジメントは、まさに環境適応を基本に高い企業価値を創出する、環境・戦略・組織の適合関係を確実に実現するアプローチです。