2-2, 乱気流環境の変容と水準

乱気流にどう向き合っていくのか。
H.I.アンゾフは下図のとおり、環境の変化とその特徴を5つの区分と水準で示しています。水準1および2では、現状延長の発想で対処できますが、水準3以降になると、大きな意識改革が求められます。

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ここの診断レベルは横軸で判断されますが、乱気流の水準をより詳細に検討するには、縦軸にある、複雑性、事象の熟知度、変化の迅速性、将来の予測可能性、 5つの要因を統合して判断する必要があります。現状認識として、この水準にのっとり、適応状況を適切に把握することが出発点です。

2-1, 環境変化における情報の組織共有

企業経営におけるはじめの一歩は、変化が自社にどんな影響を及ぼすかについて、感覚を研ぎ澄ませ、適切なタイミングで意思決定することです。

組織行動というものは、メンバー間の意識共有があってこそ、成立するものです。どんなに立派なお題目を唱えていても、個々人の意識のすり合わせがなく、バラバラに行動が積みあがっていくと、業績にもゆがみが生じます。

組織が十分に機能していないとすれば、それは戦略を論じる以前の問題です。組織はよく生命体にもたとえられますが、血のめぐらない生命体は生き残ってはい けません。情報の共有と意識の統一は組織を組織たらしめるカギなのです。戦略行動の是非は、明確な志向性と同時に、それを実現する組織が環境にフィットす べく体系だてられているかどうかで決まります。

1-5, 適応から自己創造へ

適応と追随は同じ意味ではありません。追随では後追いになってしまいます。適応するためには、むしろ先頭に立って将来を切り拓いていく姿勢が求められます。そこまでしてはじめて、持続的な成長の機会が見出されます。

環境適応業の核心は、自ら“自己創造業”たりえるかどうかにある。
自己創造するうえで、顧客にとって有意な価値を提供する視点は欠かせません。同時にそれは社会貢献を果たすものでもなければなりません。企業価値とはそのようにはかられます。

企業の持続的な成長と利益は、顧客価値と社会価値を土台に、自己創造を進めるなかではじめて見出されるものです。

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