1-4, 経営に対する重要な影響

乱気流は、企業に認識の転換を要請してきます。それは、新しいゲームへのルール変更とでもいうべきものです。下図に示した条件の中でも、特に4番目と5番目がポイントです。 これらは、従来の戦略策定プロセスとは異なる、重要な視点を含んでいます。

今日の自社の強みは、これからの弱みにすらなる。
乱気流下では、従来通りという発想こそ危険です。これからは乱気流を前提として含んでいなければ環境適応業とはいえません。適応業とは、変化から将来を引き寄せる能力とも言い換えられます。

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1-3, 乱気流環境のインパクトの変化

環境の変化は我々に新たな課題を投げかけてきます。前提条件が変わることで、 新たなパラダイムが生じ、影響関係に変化が起きています。

下図のとおり、H.I.アンゾフは環境特性をふたつに分けて整理しています。現状延長型の場合、同業種においては、類似の共通した課題が認められます。 一方で乱気流型では、各企業ごとにそれぞれ固有の課題に直面することになります。業種や業界という発想は乱気流下では役に立ちません。もともと成長や収益機会は企業ごとに固有なものです。安易な追随、横並び思考はむしろ悪影響を増幅するだけです。

乱気流環境は既存の戦略を無効化、無意味化する。
だからこそ乱気流を前提とした戦略の策定と柔軟な実践が求められます。経営において想像力と創造性が欠かせないのは、乱気流だからこそです。

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1-2, 環境変化の基本認識としての乱気流環境

企業は乱気流環境にとり囲まれています。乱気流の特徴は、不確実性と不透明性にあります。それは、我々が経験したことのない変化に日々直面することを意味します。異質な事象の発生や予測を超えた不測事象の発生など、非連続性が高まっているのが現状です。

乱気流環境の特徴を、H.I.アンゾフは下図のとおり、5つ抽出しています。このうち3つ以上該当すれば、すでに乱気流状況にあるか、近い将来直面するということです。

環境状態が現状延長型か不連続型かで、適応のしかたが変わってきます。戦術レベルで事足りるのか、それとも戦略的に適応しなければならないのか、状況次第で、自社の資源配分が決定づけられます。

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