これまで述べてきた3つの戦略アプローチは個々独立に展開されるものではなく、統合された取り組みに他なりません。その実現にあたっては、新たな組織能力、図表7・1に示す戦略リテラシーとインテリジェンスリテラシーが必要となります。
戦略リテラシーは単なる知識でなく、マインドやスタンスをもち、自ら思考する能力と、実現するいく能力が問われるものです。一方、インテリジェンスは情報に端を発する概念であり、目的を実現するための「価値ある情報」と位置付けられます。
経営実践において情報力は生命線です。情報なしに意思決定はできません。「戦略は情報に従う」と言ってもいいでしょう。同時に 実行面では「情報は戦略に従う」ともいえます。情報は目的があってはじめて意味をもつからです。
一般に情報には、データ、インフォメーション、インテリジェンス、3つの階層が存在します。データは、個々の事象、事実などのソースです。インフォメーションは、データを1つのルー ルやフレームワークに基づき目的に即して加工したものです。そしてインテ リジェンスとは、さらに進んで目的と照らし、新たな気づきや発見が付加されたものです。インテリジェンス活動は、意思決定と関連付けられるため、「ストラテジック・インサイト」 (戦略的洞察力)が求められるものでもあります。
インテリジェンスリテラシーでは、洞察力に加え、情報への感度、感性も求められます。新たな時代への気づきとも言い換えられます。知的能力という意味では、戦略およびインテリジェンスにリテラシーが求められるのは必然といえるでしょう。