4-7, 戦略的ポジショニング

図表4・8のとおり、新たなSBAで、自社はどんなポジションを獲得するのかが、「自社の戦略的位置づけ」です。戦略的という意味合いは、自社の「意図と意志」の表明であって、戦略ビジョンにこれが反映されるべきものです。

まずは、将来の自社の位置づけを、今日までのヒストリー・アナリシスプロフィール分析から整理してみましょう。成長の歴史を辿りながら、今後のあり方を環境予測と絡めながら俯瞰していきます。成長のプロフィールとターニングポイントから、成長の過程を特徴立てて区分し、自社の年表に仕立てます。これが成長プロフィールの具象化です。

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プロフィール分析により、現状の位置づけが定まってくるはずです。これを基に、今後どのようなSBAを見定めていくのか、これが自社のポジショニングです。

「ポジション」は基本的に場所を示し、「ポジショニング」は配置することを表し、「ポスチャー」は位置づけされた姿(像)を表現します。ポジショニングではなく、位置づけされた姿にまで具象化することが肝要です。

4-6, SBAのロジック

SBAの検討では、図表4・6に示すプロセスをたどります。需要の変化、新技術の出現、競争のグローバル化、さらには世界的な政治の不安定など、その影響は多岐にわたります。

「自社の環境とは何か、どうそれを認識すべきか」がいま、問われています。視点を「内から外へ」でなく「外から内へ」、これがSBAの基本スタイルです。
時代認識を踏まえ、変化のトレンドを読みといていく、同時に脅威と機会を見極め、取捨選択することが求められています。

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SBAとは、現状ないし将来の「事業環境セグメント」です。 戦略的セグメンテーションによるSBAロジックは図表4・6に示したとおりです。個々のニーズから出発し、それを具現する技術、製品の用途、対象顧客のタイプ、そしてユーザーの市場へと検討を進めていきます。 同一の技術で、同一の将来見通しエリアで、同質な顧客のタイプ、あるいは用途を1つのセグメントとして捉えていきます。

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地域のセグメントでは、成長性、収益性、乱気流性、将来の成功要因の4つの観点から、 見通しが共通するものを1つのSBAと見なします。現在のSBA分析から始めて、今後の重要情報を明らかにしていきます。併せて現事業の評価から、変化を 先導すべき事業領域かどうか判定していきます。

SBAのロジックは、先の図表4・4と図表4・7で示すとおり、組織のヒエラルキーで検討されます。階層ごとに検討すべきロジックは変わり、例えば、全社の視点からは事業選択が中心議題となるはずです。
SBAロジックから新たなSBAが発想されますし、全社レベルで事業のあり方が明確になることで、戦略ビジョンにも直結していきます。

4-5, 戦略的セグメンテーション

自社の論理から脱却し、外から(環境、市場、顧客から)見つめ直すことができるのか、逆転の視座が乱気流への対応の早道でした。これが戦略的セグメンテーションの意味合いです。

セグメンテーションの基本は、図表4・5のとおり、環境を巨視的に見つめなおすことからはじまります。「次の課題に応えようとするツール」 3つの視点と、戦略視点「行動を起こすべき所へ向おう」5つの視点が基本となります。これら各セグメントごとに、成長性、収益性の見通しを立て、事業領域 ごとに個別の対応をはかります。

変化の傾向を見据え、これからの成功の先読みしていく。この段階では自社の立場ではなくSBA単位の成功を見極めなければなりません。そのうえで、SBAから戦略ビジョンを構築し、自社能力評価を重ね合わせて、採るべき戦略を絞り込んでいきます。

戦略策定プロセスでは、「採るべき戦略」との表現に注目してください。ここでは自社の論理ではなく、外部環境に立った目線で変化の本質を踏まえます。こうした視座切替の柔軟さが戦略の質を左右する決め手になります。

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