4-4, SBA戦略事業領域とSBU戦略組織単位

セグメンテーションでは、戦略事業領域(SBA)と戦略組織単位(SBU)の関係を押さえる必要があります 。図表のとおり、企業は何らかの区分で組織編成を行っています。小規模な事業経営であれば、機能的な編成で職能別の組織構造でしょう。一方、規模が大きく なれば、製品ライン別の事業部制をとっているケースも多いでしょう。さらに大きいところでは社内カンパニー制を採っているでしょうし、ホールディング・カ ンパニー制を導入してグローバル競争での経営の柔軟性と俊敏性を実現しているかもしれません。

しかし、社内の組織編成が外部の環境にフィットしているかどうかは別の話です。組織は環境の変化をうまく捉えることができなければ生き残れません。さらに企業目的と戦略が連動しているかどうかも問われます。チャンドラー のいう「組織は戦略に従う」とはまさにこのことです。しかし実際には、既存の枠組みありきで将来を予測し、自社能力を評価しがちなものです。

これでも許されるのは、安定的な状況に限った話です。環境の不連続さに向き合う場合、現在の組織構造がそのまま変化にマッチすることはありません。これが戦略的事業領域を再定義しなければならない所以です。
図表4・4のとおり、企業にとってSBAはひとつだけとは限りません。幾つかの有望なSBAセグメントに同時並行的に関わっていく必要も出てきます。このように事業領域の流動性に合わせた組織編成を行っていくこと、それが戦略組織単位(SBU)です。

SBAとSBUはシンクロしていることが重要です。SBUとは戦略を策定する単位であり、SBAは環境の単位であると言ってもいいでしょう。

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4-3, 将来のSBA戦略的事業領域の判断

自社の事業領域を見直すためには、環境予測において、乱気流の水準を適正に評価することが必要です。
図表4・2では、評価項目として11の観点を提示しています。項目ごとにポジショニングを選択し、それらを折れ線で描き出すことで、全体のプロフィールが表現できます。

統合されたプロフィールの中央値が、向き合うべき乱気流水準と戦略水準です。これは同時に、戦略的事業領域の特性判断、連続性/不連続性も判定することができます。

探求的水準以上が不連続であり、SBAの見直しが求められます。さらに内訳として、探求的か創造的かでSBAへの対処法が変わります。

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水準を定めた後の対処では、図表4・3の「戦略的な推進力」に考え方が整理されています。
繰り返しになりますが、戦略ビジョンの構築するうえでの第一歩は、戦略的事業領域の設定いかんに懸かっており、この「戦略的セグメンテーション」が将来に大きく影響します。

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4-2, ストラテジック・ポスチャー・プラニングのプロセス

ポスチャー・プラニングの基本フレームは下図のとおりです。 企業理念を上位に、戦略ビジョン、基本戦略、戦略実行計画、戦略成果目標という基軸の流れと捉えることができます。これに環境予測と、自社能力評価を連動させたもの、それが戦略策定プロセスです。

企業理念に環境予測と自社能力評価を組み合わせ、戦略ビジョンが導かれます。戦略ビジョンは単に将来を語るというより、戦略的な意図と意志を明確化するものです。前掲のとおり、SPMの基本として、環境の側から変化を読みとく姿勢がポイントです。新しい事業領域を定義するのもこの範疇です。

現在の戦略事業領域(SBA)に未来はあるのか、自社は将来の環境においてどのようなSBAを追求すべきかという命題に答えを出していく必要があります。 戦略ビジョンと将来のSBAが意味するところは一致します。SBAの選択は戦略策定の根幹に関わる問題です。

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