「環境と戦略と組織のダイナミックな適合」のもう一つの重要な面は、環境対応の主体者である組織自体が自らの環境適応の在り方を見出していかなければならないことです。
これは自らが自己変革、自己創造を見出す能力といえます。
H.I.アンゾフは、アルフレッド・チャンドラーの「組織は戦略に従う」に対応して、「戦略は組織に従う」としました。
これは環境適応する戦略創造と戦略実行の相互連関性の問題です。
自己創造能力は、自らが環境変化に適応する戦略を創り出していく能力を持ち続けることにあります。これは自己変革能力であるとも言えます。
そして、この自己変革能力は自社の経営構造を創造的に変革していくことを意味しています。
乱気流環境下では、環境変化において絶えず「環境の構造的変化」が非連続に起きていることを表しています。そのために企業は「経営構造の変革」をしていかなければなりません。
それが環境適応であり、企業の自己創造業としての姿であると言えます。
組織は絶えず新たな自己を創造し続ける組織能力を持っていくことです。それは戦略を自らが創造し、それを実現していく能力ともいえます。これが、本来的な組織適合のダイナミズムといえます。
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