戦略経営の本質は、「環境と戦略と組織のダイナミックな適合」を実現していく事です。その対象となる環境変化は、乱気流渦巻く予測不能のグローバル環境であって、その環境の中で適応する自社のあるべき姿とそれを実現する採るべき戦略を明らかにし、実現のための組織変革を通じて実行して行くことになります。
環境は自社の「環境対応の対象」として存在し、戦略はその「環境対応の内容」を示していることになります。そして、組織はこれらの環境対応における戦略創造と実行を担うことになる「環境対応の主体」となってきます。
この環境と戦略と組織のダイナミックな関係性は、「環境対応の対象と内容と主体」の適合関係ということになります。H.I.アンゾフは「戦略経営論」において、これらのダイナミックな適合関係を「並列関係」と言う用語をもって説明しています。
そして、乱気流環境下においての環境対応の対象は、将来環境の環境変化と直面する環境事象の2つの環境対象が絶えず存在します。この2つの環境に同時的に企業は適合関係を創造し実現して行かなくてはなりません。
もしかしたら、この将来の環境と直面する環境には共通してくる環境要因が存在しているかもしれません。あるいはそれぞれが全く別の環境対応として存在し、認識していかなければならないかもしれません。
戦略経営の実践において、こうした時間軸における変化とその環境空間の中で、戦略的な環境対応の同時性をもった環境のダイナミックな適合が求められてくるのです。