ここで、従来からの経営戦略と戦略経営が捉えようとしている世界が少し異なっていることが理解できると思います。
戦略経営は環境と戦略と組織の並列関係を持ったダイナミックな適合を不断の創造していくことにあります。
その前提となる環境は乱気流環境の変容です。H.I.アンゾフは乱気流環境の環境変化とその特徴を5つの水準に位置づけて説明をしています。これは「乱気流水準」を呼ばれます。
水準1では「同一事象の反復的な発生」、水準2は「同一事象の拡大的な発生」、水準3においては「異質事象の発生」、水準4は「異質事象の非連続的な発生」、そして水準5では「不測事象の非連続的な発生」としています。
そして、その環境変化を診断する指針を示しています。
これらの「乱気流水準」を示す言葉から判断して、みなさんの会社にこれらを照らし合わせてみるとどの様な環境水準になるでしょうか。もし自社を取り巻く環境が乱気流水準3以上「異質事象の発生」であれば、すでに乱気流環境下にあることを示しています。それは新たな戦略対応が求められています。
水準1と2では「同一事象」が環境の特徴となっていることに気づくはずです。水準3から「異質事象」となり水準5では「不測事象」です。そして異質事象と不測事象が「非連続的な発生」となってきます。
これはもう従来の経営のやり方ではコントロールに不能となってきます。これは今までの経営戦略では対応しきれない戦略不全状態と言えます。
そして、さらに大切なことは従来の戦略策定の方法では適応できないということです。ですから、今までの経営戦略やノウハウ・スキルを学んでいても意味を持たないのです。
乱気流環境水準に対応する経営活動が重要で、それの乱気流水準に適応する戦略が必要なのです。この環境水準レベルと戦略の適合の戦略的意思決定が大切なのです。
企業経営においてすでの経営戦略の重要性は存在しています。またビジネスパースンに求められる戦略スキルの大切さは理解できます。しかしそれらの大前提は「企業は環境適応」としての存在があってのことです。