これまでの一般的な企業においてのインテリジェンスの理解と取組みは、経営情報システム系を中心としたビジネス・インテリジェンス(BI)の範囲に依存していました。これはデータ処理・インフォメーション、これらをベースにした経営情報として、インテリジェンスを扱ってきた程度のレベルでした。あくまでも情報システム系のインテリジェンス起点でいかにマネジメントを進めるかに主眼がありました。これはマネジメントフローが十分に確立され、定型的な場合や、実施遂行にあたって不確実性に振りまわされない環境下において有効な方法です。いわば“より良いインテリジェンス体制さえ確保すれば結果は自ずと導かれる”といったハード情報の情報処理システム重視の考えに相当します。
一方で、不断の環境変化に即応し、また場合によっては変化を先導していくことも含めて、より戦略的、柔軟な対応を考慮するならば、マネジメントプロセス活動全般にインテリジェンス思考・態勢を連動させることが必要になります。これは生きたソフト情報重視の考え方です。
そして、このインテリジェンスの位置付けは、インテリジェンス・マインドをもった人間行動をベースとして、現場知と個人知を機転に戦略知と組織知に転化させていく態勢のあり方といえます。このインテリジェンス態勢により、新たなインテリジェンスを創出していく、マネジメントにインテリジェンスがキャッチアップしていく仕組みが求められます。
言い換えるならば、“マネジメントと共にインテリジェンスを創出する”という、クリエイティブ・プロセス重視の考え方が必要です。
もちろん、インテリジェンスの醸成が最終目的ではありません。インテリジェンス・マネジメントプロセスを通じてから成果を生み出すまで、まとめる形で、インテリジェンス・マネジメントとして機能すること、これがインテリジェンスマネジメントの要諦です。