著者シンシア・モンゴメリー氏はハーバード・ビジネス・スクールの教授で、世界中の会社のオーナー、経営者のみに向けた「エグゼクティブ・プログラム」の戦略論の講義で高く評価されている。
これは年間売上が約10億円~2000億円の企業の創業者、オーナー、経営者だけが受講できるプログラムで、中心的なテーマは「戦略」と「リーダーシップである。世界中から集まった現役リーダーたちが、企業戦略をいかに練り上げるかを議論し、実際のビジネスの現場へ応用する。そして成果をフィードバックして再び討論するという、実践的な戦略論が繰り広げられる。
この「ハーバード戦略教室」が一般向けで初の単著である。本書は、公開されることのないこの講義の真髄を初めて書籍化したもので、世界最高のビジネススクールの、それもエリートたちへの講義だからとして、難解な机上の経済理論が戦わされるわけではない。あくまで具体的な有名企業の実例で、どうして戦略が成功し、また失敗するか、戦略をいかに実現するのか、それを率いるリーダーの資質とは何なのかといった議論が、生き生きと語られてゆく。内容として特に新たなところは見られないが、現実的な戦略とリーダーシップの関係性が理解できる。
シンシア・モンゴメリー著 文藝春秋 2014.1(1500)