企業経営において、戦略は特別な用語ではなくなっています。その証拠にMBAの戦略タイトル項目はじめとして、個別的な戦略というものが数多く見られます。一方で、戦略という表現が多用されることで、その指し示す実質が見えにくくなっているという弊害があります。
戦略リテラシーは、言い換えるなら『戦略能力』を身につけ、それに基づき戦略の創造と実行・実現する能力と言えます。そして、その前提にあるには戦略的態度・姿勢であり、戦略マインドとして捉える事ができます。先ずはこれを明確に意識するということが重要とになります。単に数多く紹介される戦略フレームワークや手法・スキルをテクニカルに身につける事だけでは意味をもちません。そこにはマネジメントの全体像に対する戦略の役割を踏まえることと、その関係として、目的との相関、実行への展開を含め、澱みないフローを体得することが求められます。
本来、期待される戦略リテラシーの有無は、自社のマネジメントに一貫性を持たせ、これを明示的に体系化していくことと不可分です。もちろん、「わかること」と「できること」はイコールではありませんから、潜在能力としてのケイパビリティを醸成していくことも必要になります。通常のリテラシーはフレームワークに沿って、身につけ醸成していくべきものですが、中でも戦略リテラシーでは、目的と成果を結び付けるシナリオ構築力が要請されます。それは戦略グランドデザインにはじまり、戦略構築・構図・構造・構成・シナリオ・コントロールなど一連のストリーです。リテラシーの特質上、どうしても実践能力が強調されがちですが、戦略リテラシーでは感性の働きも大きく影響します。この感性はアートの領域です。これからは現状延長的な発想では適応していくことは出来ません。感性というとあいまいな印象に陥るかもしれません。しかし、戦略創造とは戦略創発でもあります。広範な視野から端的な成功を規定していくには、一片の絵が現実以上に多くを語ることも往々にしてあるのです。これからの戦略リテラシーの求められのはこれまでの単なる戦略スキルではなく、クリエイティブ・イノベーションであるとも言えます。
insight_D『基本フレーム』参照下さい