戦略リーダーシップは、戦略創造プロセスと戦略実行プロセスの統合的な適応関係を創り出すことであった。これは戦略と組織の適応関係性において、戦略の創造あるいは策定とその戦略の実行についてである。つまり、これの視点は先に引用したチャンドラー説の「組織は戦略に従う」に即応することになる。
そして、もう一方に引用したアンゾフ説が問いかけるのは、一体、だれが環境に適応する戦略を創造・策定するのかという点である。これは戦略実行能力としての組織能力ではなく、戦略創造能力としての組織能力に他ならないのである。
そうすると、戦略実行においても戦略創造においても現有の組織能力が問われて来ることになる。これが戦略リーダーシップの本質的な視点である。
この両者の能力がリーダーシップに求められ、同時のリーダーシップの発揮においても求められる。自社に求められる戦略リーダーシップ能力は異なってくる。それは、取り巻く外部環境条件が異なり、現有の組織能力が異なるからである。
戦略リーダーシップは環境と戦略と組織の「一連の統合された適応関係」を創り出すことである。そして、求められる戦略リーダーシップ能力はそれら二つの現実の中に存在することになる。