戦略リーダーシップ(12):2つの組織能力の適合

戦略リーダーシップは、戦略創造プロセスと戦略実行プロセスの統合的な適応関係を創り出すことであった。これは戦略と組織の適応関係性において、戦略の創造あるいは策定とその戦略の実行についてである。つまり、これの視点は先に引用したチャンドラー説の「組織は戦略に従う」に即応することになる。
そして、もう一方に引用したアンゾフ説が問いかけるのは、一体、だれが環境に適応する戦略を創造・策定するのかという点である。これは戦略実行能力としての組織能力ではなく、戦略創造能力としての組織能力に他ならないのである。
そうすると、戦略実行においても戦略創造においても現有の組織能力が問われて来ることになる。これが戦略リーダーシップの本質的な視点である。
この両者の能力がリーダーシップに求められ、同時のリーダーシップの発揮においても求められる。自社に求められる戦略リーダーシップ能力は異なってくる。それは、取り巻く外部環境条件が異なり、現有の組織能力が異なるからである。
戦略リーダーシップは環境と戦略と組織の「一連の統合された適応関係」を創り出すことである。そして、求められる戦略リーダーシップ能力はそれら二つの現実の中に存在することになる。
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戦略リーダーシップ(10):戦略と組織適合関係

戦略リーダーシップにおいて求められるのは、この戦略と組織を適合させていくことである。これは戦略リーダーシップにおける組織プロセスを意味している。この組織プロセスを通じて、組織を戦略に適合させていくことである。そして、同時に組織プロセスは戦略実行プロセスでもある。
戦略リーダーシップ・プロセスにおいて、戦略プロセスと組織プロセスの2つをを示し、その意味は戦略創造プロセスと戦略実行プロセスである。
従前のリーダーシップ論において共通する定義は、リーダーシップは影響力であるとしている。この点から仮に理解すれば、リーダーシップは組織プロセスでの戦略実行においての影響力の行使としてみることができる。これは、戦略リーダーシップにおいての戦略実行プロセスを示しているだけである。
求められる戦略リーダーシップ能力は、戦略創造プロセスとして自らが戦略を創造し策定していくリーダーシップ・プロセスと、戦略実行プロセスにおいて自らが策定した戦略を戦略実行していくリーダーシップ・プロセスに求められる。
戦略リーダーシップは、環境と戦略と組織の一連の適応関係を創り出すことである。そして、求められる能力はそれらを現実の中で実現していくリーダーシップ能力であるといえる。

戦略リーダーシップ:組織適応能力

先に乱気流環境がもつ根本的な変化の視点から、新たな時代に即応するリーダーシップのあり方とその発揮が求めらていることの重要性を明らかにした。
これらリーダーシップのあり方は、何よりも先ず自社の戦略的な環境適応のあり方についてリーダーシップを発揮しなければならない。これは環境適応能力としての戦略リーダーシップもあり方である。
このリーダーシップ能力は、自らが戦略を創造し策定していくリーダーシップ・プロセスでもある言える。これは戦略リーダーシップにおける戦略創造プロセスであるといえる。
次に、新たな時代に即応するリーダーシップのあり方においての重要な視点は、環境適応においてこの戦略創造プロセスを通じて明らかにした戦略を実現していくという戦略実行の視点である。
その戦略実行の主体者は組織そのものであり、その組織の戦略実行能力が次に戦略リーダーシップとして問われることになる。このリーダーシップ能力は、自らが策定した戦略を戦略実行していくリーダーシップ・プロセスである。これは戦略リーダーシップにおける戦略実行プロセスでもある。
この戦略の実行において、組織とその構成メンバーに対する働きかけるリーダーシップのあり方が重要な意味を持ってくる。この戦略実行リーダーシップのあり方とその発揮のいかんによって戦略の実践が決定づけられてくることになる。
この戦略実行プロセスにおいて、部分的にこれまでのリーダーシップ論の6つの潮流でのリーダーシップ研究の成果が大きく影響してくることに成る。
しかし、これまでと基本的に異なる視点は、環境適応能力とその組織適応能力としてのリーダーシップのあり方とその発揮についてである。そして、組織適応能力としての戦略実行とその戦略実行能力に焦点が当てられる。
これは、戦略プロセスと組織プロセスの相互関係性を意味しているのである。そして、このことは戦略と組織においての適合関係を創り出すことを示唆している。